161022 友達が休暇中に性転換して坊主に

長期休暇明けに学校に行くと、Sちゃんの頭が坊主になっていた。しかし私は何も不思議に思うことなく、というかほとんどそれに気づかないままだった。

Sちゃんはある教室に行きたがっていたが、その教室に入るには、別の教室から鍵を使ってやや複雑な経路を辿る必要がある。しかも、その通らなければならない教室は、人だかりのせいで入れない状態になっていた。どうやら皆スマホから流れる音声を面白がって、スマホの回りに集まっているようだ。それは皆が学校から出かける前に再生しておいた音声で、帰ってきてからもそれが再生され続けているのが面白いらしい。私にも音声は聞こえてきたが、ただ男性がぶつぶつ呟く声が聞こえるだけだった。

Sちゃんが隙を伺ってその教室に入ろうとしたので、彼女と同じ目的地を持つ私もついていった。その後の経路では鍵を二つ使って通っていかなければならなかったため、そのうちの一つである横長の鍵を私が担当した。たまに鍵の差し込み方がわからない鍵穴があり、一緒にいたRちゃんに尋ねることもあった。しかし、Sちゃんと会話を交わすことはほとんどなかった。

そのとき、生活指導にあたっているM先生が、生徒指導委員会に属する生徒たちを引き連れて私たちのいる教室にやってきた。先生は以前にもこの教室に忍び込んだ私たちに注意をしたことがあった。特にこれが校則違反というわけでもないが、先生は忍び込んだ生徒を個人的に咎めているようだ。

先生は私たちの会話をしばらく隣の部屋から聞いていたという。それを知って、私は何か失言を聞かれてしまったかもしれないと一瞬回想したが、特に変なことは口に出していなかっただろうという結論に至り、安心した。先生は私たちに、「自分等がやってきたことを胸に手を当てて考えろ。行動だけではなく心の面も振り返れ」と言ってきた。

私はこの笑ってはいけない状況に笑いそうになり、慌てて下を向いたが、顔はにやけてしまった。そんな私を見た生徒指導委員会の子達も、「この状況やったら笑ってしまってもしゃあない」みたいな顔をしていた。

私たちが皆のいるところに戻ると、O先生が全員の前でSちゃんについて説明した。Sちゃんは性同一性障害で、この長期休暇の間に男になったという。そして、「宗次郎」と改名し、髪も全て剃ったそうだ。本人にはいろいろ葛藤があったかもしれないのに、全く気にせずに「Sちゃん」と呼んでしまって申し訳なかったなと思い、また普通に応じてくれた彼女(彼)に感謝した。

坊主にしたといっても髪質や髪の伸びる速度はまだまだ女の子の要素が強く、頭のところどころから金色の髪の束が変な風に生えてきているのが見えた。


ある男の子がPCを操作していた。彼は私の好きな男の子だと思うが、誰だったかまでは覚えていない。PC画面はプロジェクターも反映され、私たちにも見えていた。

彼は勉強のためのアプリを使っていて、そこでちょっとした計算をするために電卓アプリを脇に立ち上げようとしていた。しかし、そのPCでは複数のプログラムを同時に起動することは難しいらしい。電卓を起動しようとすると、勉強のためのアプリからの離脱を求められ、彼だけでなく見ている方も苛立った。

見ていたTくんは、複数アプリ起動の方法に関して少し知識があるようで、「あれ、パスワードに英語混ぜやんとあかんのかな」みたいなことを呟いていた。


床に、オレンジ色のラッピングを施された花束が落ちていた。しなびていて、少し平べったくなっている。

これは生徒である我が子を亡くした親に学校から送られたものだという。しかし、花束を貰ったことに関して「羨ましい」と言ってしまった親がいるらしい。先生が、「たぶんその方は花束とか貰ったことなかったからつい言ってしまったんやろうね」などと言って必死でフォローしようとしていたが、その場にいた誰もが「それはとんでもない失言だ」と感じていた。